あゆみ

砂浜美術館誕生のきっかけは、Tシャツアート展。1989年5月、当時大方町(※1現黒潮町)役場の職員であった畦地和也氏、松本敏郎氏が、高知のデザイナー梅原真さんの事務所を訪れました。この出会いによって、梅原さんのお知り合いで写真家・北出博基さんの「自分の撮影した写真をTシャツにプリントして砂浜で展示したい」というアイデアと、「大方の砂浜がいい」と思っていた梅原さんのイメージが結びついたのです。美しい砂浜で、たくさんのTシャツが風に踊る。いかにもさわやかなTシャツアート展の風景です。

これを単発のイベントではなく、意義や目的をはっきりさせた「考え方」のあるものにしたい。ここで自分たちの砂浜を見つめ直し浮かんできたのが、「Tシャツだけでなく、そこにあるもの全てを作品としたらいいのではないか」という開き直りのような発想だったのです。そして、これをコンパクトにまとめたのが、梅原さんによる砂浜美術館のコンセプト。バブル経済まっただ中、地方に大きな箱モノが次々と作られ、派手なお祭りイベントが「地域おこし」とされていた当時、『砂浜美術館』は対極の方向へ歩み始めたのです。

偶然から始まる出会いのストーリーについて、詳しくはこちらからどうぞ。

(※1)2006年3月、大方町は佐賀町と合併し、黒潮町が誕生しました。

1989年  砂浜美術館誕生・砂美人連発足 Tシャツアート展始まる

Tシャツアート展などの企画を実行するグループができる。「町を担う大波になろう」との意味をこめ、「さざなみ会」と名付けたが、「ジジくさいから」との理由で、砂美人連(さみっとれん)に改名。花火や盆踊りなどを行う夏のイベント「フェスティバル大方」で、第1回Tシャツアート展と砂の彫刻展を開催。北出さんの写真作品とお試し公募の約200点のTシャツを展示。第2回目以降は、すべて公募作品に。

1990年  シーサイドギャラリー秋始まる

砂浜美術館の秋の代表作品「らっきょうの花見」が始まる。その後、10数年継続する中で、高知県秋の俳句の季語として、「らっきょうの花見」が定着する。

1991年  漂流物展始まる

流れ着く漂流物も作品。砂浜美術館スタッフが、漂流物展開催のために砂浜を歩いていると、遠い国から流れ着いたメッセージボトルを発見。流れ着いたゴミが、作品に変わった。

1995年  潮風のキルト展始まる

Tシャツのひらひらを見ていた、まちのキルトサークルの人たちが「私たちのキルトもひらひらさせよう」と集まった。会場は木漏れ日が素敵な松原、らっきょうの花見も楽しめる11月の開催。

1996年  エコツーリズム

砂浜美術館スタッフが中心になり、エコツーリズム研究会が発足。地域資源を保全しながら、観光資源を活用し地域を元気にしていこうという取り組みが始まった。

2000年  漂着物学会 発足

漂流物展を10年近く継続する中で、漂着物をテーマに活動する人たちとのつながりができた。漂着物の第一人者、石井忠さんとの出逢いもその一つ。石井先生が提唱されていた「漂着物学会」が生まれる。2001年11月、設立総会が大方町(現黒潮町)で開催。以後、砂浜美術館が事務局を担当する。

2003年  NPO法人化へ

当時大方町では、砂浜美術館、大方町遊漁船主会、大方町公園管理協会、大方町観光協会という4つの任意団体があった。この4団体をNPO法人化して1つにまとめ、それぞれが行っていた観光業務を連携させ、みんなで町を元気にしていこうと決定。この年の9月、砂浜美術館は、NPO砂浜美術館として新たなスタートをきる。

2005年  住民ディレクターがつくる黒潮テレビ局 発足

レンズを通して地域資源を発見し発信していこう。そこに住む町の人たちの視点で、撮影をするという住民ディレクター活動を行っていた岸本明さんを招いて勉強会を始める。この取り組みがその後、黒潮町の自主放送番組の制作業務につながっていく(2012年に後述)。

2006年  土佐西南大規模公園 指定管理者

Tシャツアート展を開催する入野の浜の周辺、らっきょうの畑や松原がある砂浜美術館のメーンステージは、高知県の土佐西南大規模公園内にある。この年から公園管理の指定管理者に。砂浜美術館の視点で見えてくる公園内の作品とは?砂浜も、アスリートたちの大運動場となる。

2009年  ひらひらの風景が海を越える(草原美術館誕生)

「モンゴルの草原でTシャツをひらひらさせたい」
そんなアイデアを実現させた一人の元Tシャツアート展ボランティア。モンゴルでのTシャツアート展をきっかけに、地元の子どもたちはTシャツアート展への参加を通して、世界のことを知る勉強が始まった。2011年には、Tシャツの本場ハワイでもひらひら。砂浜美術館の考え方は、ひらひらひの風景を通じて世界に広がっていく。

2009年  大方高校・開放講座始まる

黒潮町にある唯一の高等学校。ここで生徒と地域の人たちに向け開かれる開放講座、その名も『砂浜美術館』。イベントへの参加など、一年を通して「砂浜美術館」の考え方を楽しみながら学ぶ。この他、町内の小学校はTシャツアート展、中学校ではホエールウォッチング。まちの子どもたちへ考え方を伝えている。

2011年  気仙沼∞黒潮逢縁プロジェクト「かきくけこ計画」始まる

3月11日、東北地方を大震災が襲った。黒潮町とカツオ漁で深いつながりがある宮城県気仙沼市を応援するプロジェクト「かきくけこ計画」が始まる。つおTシャツたへ向かってろしお発せんぬま行きころはひとつ!2012年10月に、気仙沼市内の復興商店街等で「気仙沼Tシャツアート展」を開催。

2012年  新しい展開がいろいろ始まる

IWK TV

IWKは、It’s wonderful Kuroshio Townの略。黒潮町のケーブルテレビの自主放送が始まり、番組制作を開始。まちのことは、まちの人が一番わかっている。と思いきや、意外と知らないことも多い。

すなびてんぽ

砂浜美術館のwebショップ。かたちあるものないもの、砂浜美術館の考え方を商品にのせて、砂浜からみなさんへお届け。まちと人をつなぐ。

sunabi旅行

まちの人しか知らない、あんなことこんなこと。そんな砂浜美術館なりのまちの楽しみ方をつめ込んだ旅行商品を。まちの観光振興をまちの旅行会社として担っていきます。

sunabiスポーツ

指定管理を務める土佐西南大規模公園の、自然豊かな自慢のスポーツ施設。スポーツを通した「人・もの・おかね」の新しい流れをつくり、地域資源に新たな価値を創出する。

2013年  ひらひらの風景が広がるつながる(HIRA HIRAフレンドシップ)

モンゴル、ハワイから、気仙沼へ。。。ひらひら旅を続けているうちに聞こえてきた「自分のまちでもTシャツアート展をしたい」という声、に応えるための仕組み「HIRA HIRAフレンドシップ」。砂浜美術館の考え方が、各地に広がり、新しい価値と人のつながりを生み出している。

2014年  旅する漂流物展始まる

Tシャツ同様、漂流物も、砂浜美術館の考え方を広げるツールに。愛知、東京、大阪、大都会へも砂浜からゴミ(もといお宝漂流物!)を運んで。。。砂浜美術館・漂流物展の魅力をお届け。