第26回潮風のキルト展

第26回潮風のキルト展

第26回潮風のキルト展

日時 :2020年11月21日(土)~23日(月)10:00~15:00

場所 :砂浜美術館(高知県黒潮町 入野松原)※雨天:ふるさと総合センター

Patch-Work-Lifeさん

審査員 :Patch-Work-Lifeさん

【プロフィール】
手芸男子ユニット「patch-work」の二人を中心に集まりました。インテリアデザイナーの目線で創りだす、あたらしい「デザイン×パッチワーク」のカタチを発信しています。

【総評】
『布を楽しむ』をテーマに、今年も沢山の素敵な作品を「潮風のキルト展」にご出展頂き、誠に有難うございます。今年で第26回を迎える「潮風のキルト展」の審査を、昨年に引続き務めさせて頂きました、Patch-Work-Lifeです。
このような特別な環境の中、皆さまの想いが込められた、沢山のキルト作品が、この砂浜美術館に集結頂けたこと。今年もいつもと同じように松原に並ぶキルトが、ゆらゆらとのんびりと潮風になびかれる風景をみなさんと一緒に楽しむことができること。本当に感謝致します。世界中でも類をみない大自然の中で開催される「潮風のキルト展」。一人でも多くの方々に、笑顔と元気をお届けできることを心より願って。今年もみんなで布を楽しみましょう!
2020年 第26回「潮風のキルト展」審査の基準としましては、

【表現力】= 布で想いやイメージを表現すること
【メッセージ性】= 何をどう伝えたいか
【創意工夫】= 布を楽しみながら工夫されたこと

上記3項目を中心に、1作品1作品、僭越ながらPatch-Work-Lifeメンバーで審査させて頂きました。作品を製作される時には、製作目的・ストーリー・コンセプトなどを基に、どうすれば自分の想いをカタチにできるのかを皆さまも考えられると思います。過去の出来事や、日々の日常を切り取った風景や、これからの希望など。テーマは様々なところに存在します。誰にどうすれば想いが伝わるのか?ご自身が伝えたいことは何なのか?どのような作品を製作されたいのか?皆さまそれぞれの想いや表現方法を、これからもご自身や仲間達と、日々意識されながら突き詰められて下さいね。 キルトは自由です。思い想いの表現を、布を楽しみながら創作されて下さい。 「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」 パッチワーク・キルトを通じて、みなさまが布を楽しみ、様々な方が笑顔になれますように。

Patch-Work-Lifeメンバー⼀同

入賞作品一覧


【大キルトの部】

潮風大賞 1点(賞金10万円)

潮を吹く

タイトル:潮を吹く

作者:横田 京子(高知県高知市)

【作者メッセージ】
主人の退職を機に生まれ育った高知に帰って来ました。第三の人生を迎え、何か記念になる作品をと考えた時、高知の青い海、そして鯨をイメージしました。主人と二人、老後を元気で楽しく、のんびりゆったりとの想いを込めた作品です。太平洋で豪快に潮を吹く鯨、そんな姿を見てみたいなぁ!!

作品のタイトルとなっている、鯨の潮の吹き出し方が、豪快かつ綺麗に潮を吹く姿を描写され、本物の鯨もこのように勢い良く潮を吹くのだなと作品から想像できました。海のうねりや潮の流れを、青系の布を用いたグラデーションが美しく、キルトラインもシンプルで上手く表現されています。鯨の模様もエイトポイントスターを用いてそれそれの模様を変化させるなど、作品随所に色んな創意工夫がみられる躍動感溢れる作品に仕上がっています。仲睦まじい2頭の鯨は、横田さまご夫婦を表されているのでしょうね。

Patch-Work-Life

潮風賞 1点(賞金5万円)

糸裂彩(いとさいさい)

タイトル:糸裂彩(いとさいさい)

作者:徳久 信子&さるびあ会(ゆか・すみれ)
(福岡県筑紫野市)

【作者メッセージ】
寄付で集まった布を裂いて糸作りから始め、A4サイズのミニ手織機でさるびあ会のゆかさんとすみれさんが3年かけて200枚以上の布を織りあげました。その布を繋いで結んで縫い合わせて大きなタペストリーに仕上げました。縦糸に使用した麻糸は、海外の障がい者就労支援施設から輸入した物を使用しています。

背景に様々な色糸と布素材を上手く繋ぎ合わせ、中央に絶妙なバランスで作品を印象づける花を立体的に配置。麻糸が、作品全体に統一感を与え、様々な色糸や素材を使用されているので、作品全体の表情や印象がとても楽しい独創的な作品に仕上がっています。糸を紡いで。織って。繋いで。縫い合わせる。それぞれの素材を新たな1つの作品として見事に生まれ変わらせましたね。想いや人を繋ぎ繋がってきた、そんな作者だからこそ製作できた作品になっていると感じました。

Patch-Work-Life

ささやき賞 1点(賞金2万円)

道 草

タイトル:道 草

作者:小橋 千惠美(高知県幡多郡黒潮町)

【作者メッセージ】
子ども達の絵が好きで、2006年のカレンダーを切り、しまっていた所に、キルトを習いはじめキルトとして残す事ができました。又、息子達も、この頃があったなぁと、なつかしく思い作りました。

ノスタルジー感じられるのんびりとした田舎の風情溢れる一コマをキルトで仕上げられた、心が温まる作品。子どもたちの豊かな表情や、今にもキルトから飛び出してきそうな子ども達の柔らかで躍動感溢れる表現力。お見事です。作品中央に配置された停留所の屋根は、ピーシングとアップリケで上手く立体的に創作され、またキルトラインもとても丁寧な仕上がりとなっています。すすきの穂の表現や子ども達の楽しげな表情がとても印象に残りました。時間を忘れていつまでも眺めていたくなるくらい、作者の作品づくりへの愛情を感じることができました。

Patch-Work-Life

【小キルト・クッションの部】

こもれび大賞 1点(賞金2万円)

NO PLASTICS~ from Puffin ~

【小キルト】
タイトル:NO PLASTICS~ from Puffin ~

作者:土井 和代(神奈川県横浜市)

【作者メッセージ】
パフィンは北大西洋の大海原に棲む海鳥です。若い頃パフィンを観るために営巣地のあるシェットランド島を訪ねたことがあります。マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系を脅かしていることに心が痛みます。
“NO PLASTICS”パフィンの声を夏の思い出とともにポスターに表しました。細やかながら私もキルターとして日頃から天然繊維のキルト芯を使っています。作品にはバンブー100%キルト芯を使用しました。

作品に込められたメッセージ性や作品のクオリティ。圧巻です!!作品全体の色彩や構図。キルトラインも空は風が漂う感じに、フォントの箇所は想いが解り易いようにストレートのキルトラインに。空と海のブルーの切り返しや、水面に映り込む影や反射の表現など。どこをとっても独創的でデザイン性の高いキルトに仕上がっています。パフィンのなんともいえない作者を代弁するかのような瞳。どこか寂しげでもどかしい表情が、作品の全てのメッセージを物語っているように思えました。ポスターパッチワーク・キルト。素晴らしいです。

Patch-Work-Life

こもれび賞 2点(賞金1万円)

24年越しの初作品

【小キルト】
タイトル:24年越しの初作品

作者:西川 祥子(愛媛県南宇和郡愛南町)

【作者メッセージ】
子どもが小学生の頃、所属していた剣道会の保護者にパッチワークを習おうとした矢先、故郷へ転勤された。離町の際、牛鬼のタペストリー一式(土台布やパーツ)を頂いたが、仕上げる事もできず処分してしまい、ずっと心残りであった。今回ネットで絵を探し、下絵から始め、なんとかアップリケ迄は無難に終えたが、キルティングはお粗末の一言。裏面を見たら“ムンクの叫び”状態だ。ともあれ24年越しの初作品、仕上がりましたよ。○○さん!!出来はともかく。

24年越しの初作品!!とは思えないくらい、キルトの技術や布の配置などの表現力も高く布を楽しまれたとても印象的な作品に仕上がっています。キルトラインや柄布を用いて牛鬼の活気溢れる表情。舌を立体的に作られた遊びゴコロや配色や全体の構図。作品から作者のエネルギーと活気が、こちらにも伝わってきました。次の作品も楽しみにしています!

Patch-Work-Life

いただきます

【クッション】
タイトル:いただきます

作者:田中 美恵子(福岡県朝倉市)

【作者メッセージ】
家族そろっての食事はとても幸せな時間です。その小さな幸せをクッションにしてみました。  野菜 きのこ ウインナー どれも楽しく作ることができました。今度はお鍋に入れない野菜も作ってみたいと思います。

これは凄い!!具沢山で美味しそうなお鍋ですね!!ギュウギュウに詰め込まれた野菜たちが、何だか生き生き、瑞々しくて楽し、、美味しそうですね!!白菜・白ネギ・人参・レンコン・椎茸・とうもろこし!!様々な素材や色彩の布を使ってリアルに立体的に表現された驚きと楽しさが溢れるオリジナリティが溢れる作品に仕上がっています。こんな美味しそうなキルト。初めてみました!

Patch-Work-Life

【全部門より】

審査員:自然工房

「!」賞 1点(賞金1万円)

ちくちく

【大キルト】
タイトル:ちくちく

作者:仲山 美智子(福岡県筑紫野市)

【作者メッセージ】
私の仕事…洋服作りです。私が楽しんで作れば着る人もきっと楽しんで着てくれる。今日も、ちくちくと縫う。「だれかのための一着」を縫う。これからも手が動かせる間、ちくちくと楽しく縫う。布にうもれ、猫と戯れる日々に感謝です。

作品を目にした時何かこみ上げてくるものがありました。まさに「!」感動の瞬間でした。作品の中にクッション部門に応募されたクッションがあったり、カレンダーにはしめ切り日に赤〇がついていたり布が大好き、潮風のキルト展が大好きな気持ちも伝わってきます。今後も あなたにしか出来ない作品(Art)を作り続けていただきたいと思います

自然工房

審査員:来場者

砂浜美術館賞 2点(次回キルト展応募券)

りんごの古里

【大キルト】
タイトル:りんごの古里

作者:田岡 朝子(高知県香美市)

【作者メッセージ】
私はりんごが大好きです。台風や大雨の被害がなくて、良い収穫が出来ることを、いつも願っています。りんごの古里を旅した気分で、端切れの布を、ふじ、つがる、紅玉、王林、スターキングなどと、楽しみながら布選びしました。

そよ風

【大キルト】
タイトル:そよ風

作者:吉見 ミサ子(愛媛県八幡浜市)

【作者メッセージ】
少しづつ残ったグレーの生地を分割を変えて円を浮かばせました。欠けたパターンを向きを変えて風を表現してみました。正円の所にだけマーガレットの花をアップリケしました。やさしいそよ風が花の上を通り過ぎて行きました。

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